宝塚大学

東京メディア芸術学部

教員紹介

古瀬 登 教授

アニメーション分野

古瀬 登 教授

NOBORU FURUSE

ゼミ指導分野

アニメーション制作、企画

PROFILE

アニメーター、監督、演出、キャラクターデザイン、作画監督。『うる星やつら』『ルパン三世』『頭文字D』『ブラック・ジャック』『エースをねらえ!2』 他

-MESSAGE01

社会に出て5〜10年後に役立つ「演出」を教える

現在、アニメーション領域でアニメ制作、動画技術などを中心に教えています。今在学中のみなさんがいるのは、アニメーション表現がフィルムからデジタルに移行した後の時代。これまでになかったアニメの需要や客層の広がりが出てきたユニークな時代ともいえます。作画志望で入学する学生が多いですが、この大学ではアニメーション制作の全工程を学ぶので卒業後の進路も多様になります。私たちは社会人になってすぐというより、5〜10年後に役立つことを教えます。それは「演出」、つまりシリーズ全体の流れや細かいディテールを見る監督的な考え方です。演出はシナリオ、撮影、仕上げなど制作の全工程を知らないとできません。全体を俯瞰することと並行してディテールを見ることは大変ですが、俯瞰する力は作品の質を決め、魅力を引き出すことに繋がります。だから静止画がどう動くかを指示するときに、演出が描く絵コンテはとても大事です。作品意図を理解しスタッフとしっかり打ち合わせをした上で進めていくのでコミュニケーション能力も必要です。
演出は大学卒業後すぐになれるものではないので、そのシミュレーションとして大学の授業があるものだと思っています。

古瀬 登 教授

-MESSAGE02

いかに新しい組み合わせを編み出すか

演出は色んなことを知った上で発想しなければいけません。「雑学」があること、そして知らないことを自分で調べる力が必要になります。極端な例えですが、人殺しのシーンを描かなければいけないとき、実体験している人はいないので、その恐怖、世界観をどう表現するのかを考えるのが演出の仕事だと思います。さまざまな世界観を知るには、名作と言われている映画を見ると勉強になりますね。莫大な時間の中にどうカット割りしていくか、一見やり尽くされていることもどのように新しい組み合わせを編み出すか。既存映画をカット割りに起こしてトレースするのもいいでしょう。興行的に成功する作品ばかりを作る必要はありませんが「ウケる要素」を学ぶことで多くの人の心が動く作品を作ることができるはずです。

-MESSAGE03

キャラクターの存在を信じさせる力

実写とアニメーションで決定的に違うのは、キャラクターの力。江戸時代に活躍した劇作家、近松門左衛門が提唱したと言われる「虚実皮膜論」という考え方があるのですが、つまりリアルとファンタジーの隙間=皮膜の部分に面白さがあると言われています。キャラクターは本来虚構の存在ですが、例えば「サザエさん」は家族のあり方がとてもリアルじゃないですか。僕も小さい頃にディズニー映画「ファンタジア」を見て、ミッキーマウスは本当にいると信じていたことがあり、それが今の仕事に就く原体験になっていると思います。虚実のバランスがうまく取れた結果、観客を信じさせる力のある作品が長年愛されるのでしょう。
アニメーションに携わるということは、仕事として面白くないと続かない。自分の絵が動いたときの快感や、予想を越えてキャラクターが動いてくれる時の感動が心地よくてずっと続けていられる。自分で面白くするのが楽しいんだと思いますし、結果仕事になっているんだと思います。

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