第11回学長×助産学専攻科生 座談会

この企画は、日頃接する機会の少ない学長と直に意見を交わすことのできる機会を設け、 学長が学生の生の声を聞き大学運営に活かすことや、
学生に学長を身近に感じてもらうという目的で、2020年度よりスタートしたものです。
今回は、この春入学した助産学専攻科生4名が参加し、学長と語り合いました。
テーマ1「助産師を目指した理由、宝塚大学を選んだ理由」
- 今日は4名のみなさんにお話しいただくのですが、どういった理由で助産師になりたいと思って宝塚大学に来たのかという、そのいきさつを教えていただけますか。
- 看護学部に進んだ時から助産師になりたいという思いは全然変わらないのですが、元々ずっと子どもが好きで、保育士か助産師になりたいという将来の目標が自分の中に何となくあったんです。わたしが小学校4年生の時に弟が産まれたのですが、それに立ち会わせてもらって、目の前で助産師さんがお母さんに対していろいろケアしている姿や、弟が産まれた後、助産師さんが私にへその緒を切るかどうか声かけてくれたのですが、そういった経験があって、助産師になりたいなと思っていました。

- わたしが高校生の時に、科目担当の先生が妊娠されて、その当時は漠然と出産に立ち会える人になりたいなと思っていました。同時に、「命ってすごいな」と思って、それがきっかけで助産師になりたいなと思いました。
- わたしの家族の仕事柄、人の死に目に会うことが多かったのですが、学部の時に行った母性看護学の実習で初めて人の誕生の瞬間に立ち会えて、「人の誕生ってすごいな」という、どう言葉にしていいかわからないのですが自分の中ですごく影響を受けて、看護師になろうと思っていたんですが助産師になろうと思って、助産師をめざしました。
- わたしが小学校2年生の時に妹が産まれて、その時にその病院で働かれている助産師さんをたくさん見たんですが、産後ケアに母が行った時には地域で働かれている助産師さんを見て、助産師という職業の幅広さがかっこいいなと思い、私もそんな職業に就きたいなと思ったのが助産師をめざしたきっかけです。
テーマ2「助産学専攻科に入ってみてどうですか?専攻科ってどんな印象?」

- 皆さん共通して言えるのは、新しい命を見た経験やそれを通じて携わってみたいなという思いや経験がおありで、それを経て助産師になりたいと思われ宝塚大学(助産学専攻科)に来られたのかなと思うんですけど、実際に専攻科に入学してどんな印象を持ちましたか。専攻科は1年間で36単位、大学院修士課程の修得単位数より多い多い単位を1年間で学ばれるわけだから、学部の時よりもハードかなとも思いますが。
- 正直、忙しいなっていう印象はあります。ありますが、大学の時はすべての科目をやらないといけなかったけど今は自分がやりたい助産学のことだけを学べているのは、興味があるから苦にはならない。というか、興味がある話を聞けるというのは大きいです。あと、先生との距離が近いです。学部の時は、先生の研究室って行っていいのかな、先生も研究で忙しいし・・・と思っていたんですが、ここは先生方も気にかけてくださるし自分たちからも質問しに行ったり「これってどうですか」など質問しやすい環境ではあります。
- 学部との違いは、やはり忙しいです。学部のときは授業が1~4限まで入っている日が週に3日ぐらい、3限で終わる日もあったりしたんですけど、専攻科は月~金まで4限、たまに5限とかもあったりして、忙しいのが学部との違いというか・・・。でも専攻科は10名と人数が少ないので、みんなと仲良くなるというか、人数少ないところがいいところかな。楽しいです。あと、専攻科の方が先生との距離がより近い感じがします。
- 学部と違うところ、同じ意見ですけど、忙しさが違うところです。あと、先生との距離がやっぱり一番近いなと思っています。(専攻科の)講義室の近くに先生の研究室があるから、学部の時だとどこにどの先生がいるかわからないし気軽に質問しに行けないなと思っていたけど、専攻科では先生が「今ここにいらっしゃる」という安心感は強いなと思っていて、学部との違いはそこかなと思います。学部の時はちょうどコロナ禍でオンライン授業だったっていうのも影響しているかもしれないんですが、わたしは学部の時先生との距離があまり近くないなと思っていて、いま(専攻科)の方が近くなった印象はあります。
- 助産学校はどこに行ってもすごく忙しいと聞いていたので、実際忙しくなってみて「これが噂のやつか・・・」と思っていました。今こちらで学んでいて、先生方の柔軟さとか優しさとか、そのあたり自由なところが印象的です。あと、先生方がわたしたちのことを気にかけてくださっている感じがすごくあって、良い環境で学ばせていただいているなって思っています。
- 自分たちが実習などに行って困らないように言ってくださっているんだなっていうのは伝わってくるから、理不尽な「なんでやねん!」と言う感じはなくて、そこはありがたいなと思っています。
テーマ3「これから実習に行かれるみなさんの、実習に期待することは?」

- 皆さんこれから実習に入るということで、看護の実習は皆さんも経験されていますが、専攻科の実習の中で期待されることありますか。実際に取り上げる、直接命に触れるということはあまり経験できない事ですよね。そういう点で何か期待するものはありますか、実習に対して。
- わたし自身、出産立ち会わせてもらった経験もあって、妊婦さんはもちろんですがそこの声掛けだけじゃなくて、立ち会った先の家族さんや子どもさんが、「立ち会って、お母さんと一緒に頑張ってよかった」って思えるようなサポートができたらいいなって思っています。
- 今おっしゃったような、パートナーさんや周囲の方も巻き込んでいいお産にしたいっていうのはもちろんあるんですけれども、「お産は1人1人それぞれ全く違うもの」と教えていただいていて、実習に行っても仕事を始めてもずっと学び続けることになると思うので、その「学びたい」という意欲を常に持っていれるように楽しみたいなって思っています。
- みんなとかぶるんですけど、やっぱりいいお産になったなって思ってもらいたいです。今は学生なので、1人1人に関われる時間、1人の妊婦さんに関われる時間も多いと思うので、今(学生)のうちに濃い関わり方とか、働いていくとどうしても1人の妊婦さんに接する時間が短くなっていくので、その短い間でいかにその相手の人の心が読み取れるのか、そういうコミュニケーションの部分や技術の部分を学んでいきたいなって思っています。
- 期待というわけではないんですが、実習ではさまざまな病院や場所にお世話になるので、そこは実習の強みかなと思っています。あとは、学生で完璧にできるっていうのも逆におかしいことだから、できなくて怒られて学んでいくって、お産も1人1人全部違うから、こんなことがあるんだって怒られながら学ぶのも楽しいかなって思っているので、楽しもうかなと思ってます。
テーマ4「10年後の私-自分はこうなっていたい、こうありたい」
- では最後に。10年後に自分は一体どうなっているかという事を少し想像してみてください。みなさんの「10年後こうなりたい、こうありたい、こういう助産師になりたい」を教えてもらえますか。
- 10年後、普通でありたいです。何事も起きてないことが一番いいなと思ってて、少子化なのでこの先どうなっていくかが予測できないんですけど、穏やかな生活でそんなに大きな変動はなくて、シーズンシーズン毎日生活できるのがいいかなと思っています。

- 10年後は仕事も少し慣れてきていろいろ視野を持ってる時だと思うので、プライベートも仕事も両立して、仕事の面だと10年目だと後輩もできていると思うのですが、自分の今の気持ちを忘れたくないなって思っています。それは学部のときからずっと思っていて、今の気持ちを忘れずにいて、学生の気持ち、新社会人の気持ちをわかってあげられるような先輩になっていたいです。あとは自分のプライベート、仕事に没頭するだけじゃなくて、趣味を深めたり家庭を持ったり、いろんなことを幅広く知ってる人になりたいなって思っています。
- 少しかぶってしまうのですが、仕事の面だったら10年目になったらそれなりの知識がついてると思うので、下の子たちが「先輩(わたし)に教えてもらいたい」と思ってもらえるような接し方や、後輩だけじゃなく妊婦さんからもその家族さんからも、「あなただったら安心してお話できる」と思ってもらえるような知識や技術、コミュニケーションをとれるような、視野の広い助産師になりたいなと思っています。あと、子どもが好きだから自分の子どもを持って、仕事と家庭と両立できていたらな、と思います。
- 10年あると医療ってすごく進むと思うので、例えば10年前よりも今の方が無痛分娩などはすごく進んでいて、10年後になると今の知識を持っているだけじゃきっと遅れてしまうので、常に知識をアップデートしていきたいなって思います。
あと、子どものころに出産に立ち会われたお話がありましたが、将来わたしが助産師になれた時に、きょうだいさんがおられる場合には立会いをすすめるのもいいかなって思っていて、そういうことができる助産師になりたいなって思っています。 - 今日は初めて専攻科の皆さんとゆっくりお話しできて、出身大学はそれぞれ違うけれども助産師になるという目的は一緒だし、皆さんが前向きに助産師の道を歩んでることがとてもよくわかりました。大学も皆さんの希望に応えられるような形に進化していきたいですし、皆さん10年後は、後輩に頼られるような助産師になっていただいて、それで安定した家庭生活と、充実した生活を送られることを願っています。今日はありがとうございました。
米川 英樹 学長
助産学専攻科 科長:南田 智子 教授
<参加学生>
小川 奈々花、嶋村 侑香、福田 天樹、宮下 愛里(助産学専攻科)