第5回学長×看護学部生 座談会

この企画は、日頃接する機会の少ない学長と直に意見を交わすことのできる機会を設け、
学長が学生の生の声を聞き大学運営に活かすことや、学生に学長を身近に感じてもらいたいという目的で、2020年度よりスタートしたものです。
東京新宿キャンパスと大阪梅田キャンパスを合わせて5回目の今回は、1年次生7名が参加し、自分の夢や宝塚大学について学長と語り合いました。
テーマ1「10年後、20年後、という自分でありたい、自分の将来像について」
- まず自分の夢について。10年後、20年後、こういう自分でありたい、という夢があると思うんだけど。「こういう夢を持ってます」とか、「ぼんやりしてるけどこうかな」とか教えてくれませんか。
- 正直、看護師になりたいっていうのが明確でここに来たわけじゃなくて、中高とずっとスポーツをやっていたこともあり、保健体育の先生になりたいなと思っていました。体育や運動が好きっていう理由にプラスして、人の役に立ちたい・人を助けたいという、ありきたりにはなってしまうんですけどそういう夢がありました。ただ、少しその夢を見つめ直すことがあり、看護師が身近な存在である環境だったので、あらためて看護師や看護が学べる学校について調べていくうちに、人を助ける職業である看護師を目指すことにしました。 夢は、小児に行きたいなと考えています。子どもと関わるのが大好き、子どもと喋ってる時の自分が一番楽しいというのが正直あって、子どもが笑っていてはしゃいでいる姿をみるのが楽しいし嬉しいし、そういう人たちを一番近くで見たい・助けたいという思いがあるので、小児に行って、子どもの笑顔を増やすことが、今おおまかに決まっている夢です。

- 目指すものは、もちろん看護師もそうなんですけど、学部卒業後に助産学専攻科専の方に行きたいなと考えています。この大学に入学した理由としては、自分は話すより聞く方が好きというのもあって、それを看護師としても助産師としても活かしたいなという思いがあります。近くで治療している人を励ますというのも大事だと思うんですけど、その人の普段言えないような話を自然と出してくれるくらいの安心感が大事というか、聞ける立場に回りたいと思っています。もしそれを活かすなら、他の大学の看護学部とは違うアートがあった方が感性豊かになるかなというのと、より多くの人の話を聞いといた方が自分の視野が広がるし、それこそいろんな感受性を高められるかなと思ったので宝塚大学を第一志望にして、アートを学べたらと思って入学しました。目指す看護師・助産師像は、誰かを励ましてあげるっていう立場で、聞いて負担を減らしてあげる、あげられる人になりたいなって思っています。
- JICA(国際協力機構)の青年海外協力隊に入りたいなと高校生の時から思っていて、その中の選択肢で医者か看護師か助産師かと考え、看護師になろうと決めました。宝塚大学に入った理由ですが、アートは世界共通だと思うんです。絵を描いたり、何か見て感動するというのは世界共通で、宝塚大学には“アート”があるから、JICAに入った後に使えるんじゃないかなと考えて入学を決めました。子どもたちに関わる看護師の主な仕事ってなんだろうとJICAのホームページを見ていたら、栄養状態の教育とか、公衆衛生の分野などで活躍できると書いてあったのを見て、それなら絵を使って教えることもできるし、子どもたちと接するのなら、言葉ももちろん重要ですけど身振り手振りがやはり重要かなと考えています。子どもたちと接するのなら、それでも良いかなって思っています。
- もともと人と関わることが好きで、何か人と関わる仕事を考えた時に、幼稚園の時は警察官になりたいって思っていました。ただ最終的に高校生の時に、看護師になるという夢を叶えようと思いました。そのきっかけとしては、大学を受験する半年前に家族がすい臓がんと言われたのですが、その時に入院していた病院であんまりいい扱いを受けなくて、それがちょっと悔しくて。最期は良い病院には行けたんですが、その経験が本当に悔しくて。そういう思いをする患者さんや患者さんの家族が増えてほしくないなと思うんです。それで、もう1回看護師を目指す目的や大学についてちゃんと考えてみようと思って、看護とアートを活かして、アートを通じて患者さんと患者さんの家族も癒すことができるということを知ったので、宝塚大学に進もうと思いました。
- 看護師になりたいって人は、両方いるね。あなたのように、悔しい思いをしてそれを変えたい・自分の力で変えてみたいといった方と、こんな立派な看護師がいてて、こういう人になりたいって思う方。あなたの場合は前者の方で、癒しの力を持った看護師になりたいっていうことは、それはやっぱり素晴らしいことだと思います。本当に良い看護師さんになってほしいなって思いますね。
みんなね、いろんな想いを抱えて入学して来てるんですよね。抱えるものがプラスの面もあるし、マイナスの面もあるし。みんな想いを抱えて来てるね。私はそういう学生諸君を本当に支えたいって思ってるんですよ。だからそういう人たちが自分の夢を実現するような大学をつくりたいと思っています。
テーマ2「宝塚大学への思い-いいところや改善点など-」

- それで聞くんだけども、入学してみて、宝塚大学はどうかな?自分の夢との関わりで考えた時に、いい大学か、それとももうちょっとこうして欲しいとかあるかな?あれば率直に言ってくれていいよ。
- 改善するべきところはたぶんいっぱいあると思うんです。例えばなんですけど、宝塚大学は演習や援助技術という面で、“援助”の方にすごく力を入れてるなという感じがしています。看護に進んだ友人がいるんですが、その友人たちと話しているときも、全然カリキュラムが違うなと感じます。宝塚大学の場合は1年生の最初から演習の授業があって、週に1回、2コマ使って、援助を手厚く見てくださってるし、先生が4人くらいで違うところなど指摘ポイントをすぐ教えてもらえるので、演習に力を入れてるなって思います。その一方で、講義で一部、先生の言ってる意味が分からなかったり、これはどういう意味をもって教えてるのかちょっとわからない科目もありますね。授業を通して、どういう意味があってこれを教えているのかなみたいなのは、ちょっと疑問に思ったりする時もやっぱりあったりします。
- そのへんはどこまで咀嚼することができるかの問題かもしれないけどね。その先生の問題なのかその科目の問題なのか大学の体制の問題なのか、いろんなところに関わりがあるかなと思いますけどね。ただ、あなた方の意見は最大限に重視して、改善に努めたいと思います。
- 大学内で言うのであれば、これは医療現場であるあるなのかもしれないですけど、「やってみたらわかる」「行ったらわかる」といったようなことが多くて。大学で勉強してるというか生活しててそれを感じてて。あんまり詳しい説明を受けてなくて「とりあえず行ってみて」って言われて、行って軽く説明受けて「じゃあやって」みたいなのが、ところどころで感じてしまって。そこはもっと詳しい内容を事前に、それこそ1週間くらい前には情報を発信してもらって、こちらも理解する時間を与えたうえで、進めていってほしいなって思うところがあります。
- なるほどね。それはごもっともな話ですよね。こうしてほしい、ああしてほしいっていう思いには、できるだけ添いたいなっていうのはあります。
- いい面としては、先生との距離が近いっていうのはすごく良いなと思っています。初めての実習の時すごく緊張して、ちょっと怖いイメージがあった援助技術の先生がいたんですが、実習後にその先生と面談をした時に、いろいろ気にしてくださり「どうだった?」と聞いてくださって、「すごくいい先生やな」と思いました。あと、先輩との距離も近いなと思いました。先輩と接する機会は確かに少なくて、増やしてほしいなと思うんですけど、オープンキャンパスなどで一緒になったり、1回話したことのある先輩など普通に挨拶してくださったり、仲良くしてもらっていて、すごくいいなって思いました。
授業によって悪いところが目につくというか、授業によって先生の差をちょっと感じています。でも、大学ってそういうものだと思うんですよ。正直勉強が苦手とかあると思うんですけど、基本、大学って自分が受けに行きたい、興味があるものを受けに行くところなので、そんなに求めすぎてはいけないかなって思っています。あとはみんなが集中していなかったり、淡々と行う授業だったら、リモート授業を取り入れたら良いんじゃないかなと思いました。 - 芸術を少しかじってて、宝塚大学で新しい視点が入ったっていうのはすごい自分の中で良い視点だったなと思っています。やっぱりこの大学は、1年次生から実習に入らせてもらえているっていうのが結構大きいなと思っていて、看護って経験積めば積むほど身につくみたいなところがあると思うので、数をこなさないとやっていけないところもあると思うので、そういう点ではすごく良いのかなって思ってます。
- 小中高の先生はね、大学教育の中では教育方法なんかあるわけ。ちゃんと授業があるわけ。でも大学の先生って無いの。だけどそれが言い訳にはならない。教えてる限りはやっぱり、授業の方法だとかやり方っていうのは工夫しないとダメだし、それは私の方からもお願いしたいと思っています。学生も、そのへんはうまく吸収してもらう必要もあると思う。主体は学生なんですよ。主体は先生じゃなくて、学ぶ主体ね。たぶんそれが本来の学習の在り方。大学としては真摯に学生の意見を踏まえながら改善したいと思いますが、ただ人生の先輩としてのメッセージとしては、自分で主体的にやらないと吸収なんてできない。聞いてるだけでなく主体的に関わるってことが、大学の中の教育の一番大事なところ。これからも、大学としては、どんどん教員と学生の距離は近づけたいと思う。だけど、教員の責任の部分と学生の責任の部分はちゃんと考えましょうっていうのは同時に言わないといけないかなって思います。
今日よくわかったのは、皆さんが共通してることは、やっぱり人間が好きな人が多いな。それから非常にアカデミックな志向の人もいる。アカデミックな志向の人もいる一方で、大学の目指すところとは違うんだけども夢を持ってる人もいる。それぞれ自分の夢を抱えながら、生きていらっしゃるんだなっていうのがわかって、私としては、大大大大大満足です。
それと、わたしは、自分で自分を育てていくことが必要だと思っています。自分はね、他者に育てられるばかりではない。自分が他者に育てられていくと、自らが“こういうふうにありたい”と思う、その自分を作っていくっていうのが、最高の教育形態であると思っています。だからそういう形でね、自分が目標を持って、“こういう人間になる”、あるいは“将来こういうふうにしたい”というのを自分で作ってほしい。そのことは強く願っているし、あなた方だったら可能だと思う。いろいろ困難がこれからもあると思うけども、頑張って大学生活を送っていただいて、自分の夢に近づいてほしいなと思います。
米川 英樹 学長
在宅看護学: 桶河華代 准教授
<参加学生>
大谷 唯人/亀川 璃有/大塚 菜々/呉田 優月/西村 美咲/木村 希衣/杉浦 雛
(いづれも看護学部 1年次生)
※感染対策に細心の注意を払い、室内換気・マスク着用・アクリル板設置にて行いました。
※集合写真撮影時のみ、マスクを外しています。