宝塚大学

東京メディア芸術学部

教員紹介

月岡貞夫 特任教授

月岡 貞夫特任教授

SADAO TSUKIOKA

担当科目

現 代アニメ文 化 論 Ⅰ・Ⅱ 他

PROFILE

アニメーター。NHK『みんなのうた』の『北風小僧の寒太郎』『 狼 少 年ケン』『 明 治うがい薬 』カバくん((株)明 治製薬CM) 他

-MESSAGE01

「受ける」アニメを作るために必要なことは何かを学ぶ

 「現代アニメ文化論Ⅰ・Ⅱ」という授業を通じ、アニメーション制作の基本的な知識や理論、作品を作るために必要な考え方を伝えています。授業の大きなテーマは「受ける」。良いアニメを作っても、視聴者=消費者に受けなければ、制作者として生計を立てることはできません。アニメを制作する上でとても大きな要素である「受けること」を一年かけて講義します。
受けるアニメを作るためにはどうすればいいでしょうか。まずお話するのは「彼を知り、己を知れば、百戦危うからず」という孫子の兵法。敵を知り、己を知れば、百回戦って百回勝てるという訳です。敵とは、例えるならコンシューマー(オーディエンス)、視聴者です。彼らの心をつかむにはどうすればいいかを研究する。「己を知れ」とは文字通り自分の考えを持つこと。敵を知っても、自分を知らなければ裏をかかれる事も多いです。敵も己も人間であり、それを研究するのはとても難しいですが、過去のアニメーションを題材に、私の仕事の経験なども交えて、受けるにはどうすればいいかを伝えていきます。

月岡貞夫 特任教授

-MESSAGE02

アニメを支える「テーマ」「物語」
「キャラクター」について学ぶ

受けることを学んだあとは、アニメの構造を支える「物語」について研究します。いくつかの物語を題材に、「面白い」物語にはどのような受ける要素があるかを解説します。
まずアニメに不可欠な三つの要素「テーマ」「物語」「キャラクター」についてを伝えることから始めます。あらゆる表現には作り手がどうしても伝えたい「テーマ」があります。そしてテーマを具現化するのが「物語」です。物語には二種類あり、一つは伝説やおとぎ話、神話などの「寓話」。現実にはあり得ない世界を描いたストーリーです。もう一つは「小説」。現実を舞台にリアリティを備えたストーリーです。アニメの物語は前者の「寓話」であるべきだと考えていて、その理由も授業で解説します。そして物語の担い手、読者と作品のインターフェイスとなるのが「キャラクター」。物語を設定し、物語の世界に引き込んでいけるかどうかを決める役割があるので、その造形が非常に大事であることをお話します。
このような内容を通じ、アニメ―ション作家に必要な知識や価値観を学んでいきます。

-MESSAGE03

将来の仕事に不可欠な
クリエイティビティを学ぶ

アニメ制作に必要な事柄に加え、学生の皆さんにぜひ身につけてもらいたい力があります。それは将来にわたって自分で稼いで行ける能力です。
18世紀オーストリア生まれの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは、「これからはすべての労働者がクリエイターになることを求められる時代になるだろう」と予言しました。コンピューターの進化により多くの職業がAIに取って代わられるようになった現在、彼の予言は現実になったと言えるでしょう。メディア芸術に限らず、すべての職業で創造性を持たないと生き残れない時代に、学生の皆さんは社会に出て行きます。これまで存在しなかった職業も誕生しています。一つの仕事に特化しても、それが陳腐化するとたちまち失業してしまいます。しかし、イラストレーションが描ける人がアニメの知識を持っていたり、ゲーム制作の技術を持つ人がゲームを企画する力も持っていたら、仕事の可能性は広がります。制作者としての高い技術はもちろん、時代の流れを見通し、仕事を俯瞰できる力を在学中に身につけてほしいと願っています。

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